特許の拒絶査定とその対応
主な拒絶理由
拒絶理由にはさまざまありますが通知を受け取っても焦らず弁理士事務所へ相談するか、担当弁理士に対応を任せるのがよいでしょう。
拒絶理由の詳細については特許庁のサイトに記載があるので、参考までに確認しておくことをおすすめします。
特許庁サイト:https://www.jpo.go.jp/system/basic/otasuke-n/tokkyo/kyozetsu/kaisetsu.html
- 新規性がない特許において新たな発明であることは非常に重要視されますが、新たな発明と既存の技術などに大きな差が認められない場合に新規性が欠けているという理由で拒絶されたことを示します。
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進歩性
容易に思いつきそうなものはNG 既に出願されている特許などと単に組合せたものや、新たな発明とは認められたものの、既存発明から新たな特許として認定するほどのものではないことを示しています。 -
先願性がない
既に他社出願された内容ではNG 特許は早い者勝ちなので、既に同様の発明が他社によって出願されている場合には後発出願が権利化をすることが出来ません。既に他社によって出願済みの場合はこの拒絶理由が使われます。
拒絶理由通知への対応方法と中途受任
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意見書・補正書の提出
最も多いケースはこの意見書や補正書を提出するパターンです。この段階でしっかりとした書類を準備できるとスムーズに権利化までたどり着くことが出来ます。
- 意見書:
- 拒絶理由に反論するための書類
- 補正書:
- 特許の請求範囲修正や、明細書の内容補正するための書面
- 分割出願複数出願時などに、拒絶された一部の権利を分割して出願することを検討します。他の認められている権利部分のみをスピーディーに権利化し、残りはもう少し時間をかけて丁寧に権利化を目指していく形です。
- プロに任せる中途受任こうした書類作成に関しては、いずれの方法が良いのか、どういった点に注意して書類を作成するのかなど経験豊富な弁理士に任せることを検討したいところです。
特許出願の中途受任・中途移管とは?
特許出願における中途受任とは、出願や特許権の管理を担当する弁理士を変更することを示します。
主に特許庁から届いた拒絶通知への対応や実力などさまざまな理由から、依頼先の事務所を信頼出来なくなり
別の事務所を探す場合が多いのが特徴です。出願の途中であっても、代理人の変更や解任は必要な手続きを行えば自由に行うことができます。意見書や補正書でダメな場合は拒絶査定不服審判
意見書や補正書で反論してもなお「特許として認めない」と判断された場合に「拒絶査定」という判定をされる場合があります。
「拒絶査定」をされたからといって特許が取れなくなるわけではなく、この判定に納得出来なければ拒絶査定不服審判という審判を行い、これに勝てば特許を取得することができます。
拒絶査定が届いてから3ヶ月以内に申請をすることでこの拒絶査定不服審判を起こすことが可能です。
しかし、それなりに費用が掛かる話になるため、本来はここまで至る前の「拒絶理由通知」に対する対応段階でしっかりと対応することが重要です。
そもそもこの訴えを起こすべきかどうかといった部分を含めて弁理士事務所へ相談することで適切な判断を行うことをおすすめします。
拒絶通知を受けながらも権利取得できた事例
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製品改良で差別化を図り、
特許・商標・意匠を取得ペットボトルのキャップのアイデアについて、出願前の先行技術調査の結果、似たアイデアについてすでに出願されていることが判明。
製品の改良を行っていただき、先に出願されたアイデアとの違いをだすことができたが、さらに特許を確実に取得するために繰り返し実験を実施。
特許出願後、拒絶理由通知を受けたものの、無事に特許を取得。さらに、意匠、商標について権利を取得し、特許×意匠×商標の知財ミックスの権利取得が可能となった。
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他社で断れた学用品に関する
特許を取得した事例学校で使用される用品について、世の中にあるものを単に組み合わせるというものだったため特許にできない事が判明。
複数の課題に着目して学校で使用しやすいように工夫をした結果、特許になりそうなアイデアを発見。
特許出願後、拒絶理由を受けたものの、無事に特許を取得し、意匠と商標についても権利を獲得。
特許の出願を行った際に、一度も拒絶通知を受け取ること無く登録されることは非常に少なく、ほとんどの場合「拒絶理由通知」が発行されます。
これは現時点において、その発明において特許性がないと判断されていることを示すもので、書面にはなぜ特許として認められないかの理由が記載されています。
拒絶されたからといって二度と特許取得できないというものではなく、記載している理由に対して反論、修正・改善すれば特許が認められます。